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医療系のお話の記事一覧
今回もあえて新型コロナ以外の話題を。
以前から『聴覚情報処理障害』という病気ではないかと相談に来られる患者さんが時々いらっしゃいます。
この聴覚情報処理障害という言葉、あまり広く知られていないのですが以前にブログに書いたことがあります。
⇒2018年11月29日のブログ『語音聴力検査について』
読んでいただければわかりますが、メインは検査についての話で聴覚情報処理障害については2行ほど触れているだけです(^-^;
しかし、耳鼻科医の中でもあまりメジャーではない(知られていない?)ということもあり、他に情報発信しているサイトが少ないからか、『聴覚情報処理障害 熊本』で検索すると結構上位に表示されます。
それを見られて来院される方が多いようです。
さて、この聴覚情報処理障害。
はっきり言ってわからないことが多いです。
論文検索しても数が少ないです。
聴覚情報処理障害は簡単に言うと『音は聞き取れるけど、何と言っているかわからない』というものです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)や、そのほかの精神疾患や心理的問題などが背景として関連が考えられていますが、はっきりと原因を指摘するのは難しいです。
受診された方々が言われることが多いのは
『仕事や学校で聞き返しが多く、嫌がられる』
『特に騒音があると全く内容がわからなくなる』
『他の耳鼻科で聴力検査だけされて異状ないと言われた』
受診されるのは20~30台の方が多いかと思います。
症状はもちろん個人差が大きいのですが、やはり就職して仕事を始めてから困るという方が多いです。
では、どのように診断するのか。
聴覚情報処理障害の第一の特徴は聴力の低下がないことですので、まずは聴力検査を確認します。
同時に語音聴力検査という聞き分けの検査を行います。
(語音聴力検査について詳しくは上に貼った以前のブログをご参照ください。)
この2つの検査で異常がないことがまず前提です。
そして他の検査は...色々あるのですが
とある論文の一部を抜粋します。
・基本的な聴覚検査
標準純音聴力検査、語音聴力検査、耳音響放射(OAE)
・電気生理学的検査
聴性脳幹反応(ABR)、聴性中間反応(MLR)、P300など
・聴覚認知検査
両耳分離聴検査、耳管情報処理検査、歪み語音検査など
・視覚認知検査
・知能、注意、記憶、言語発達などの検査
・発達歴、心理面などの問診、質問
一部略していますが、これだけの検査が挙げられています。
脳波の検査や騒音がある中での聴力検査などなどなど。
この中で一般的な耳鼻科医院で出来る検査は標準純音聴力検査と語音聴力検査くらいでしょう。
これを全部検査しようとすれば専門的に診ている大学病院などでしかできないと思います。
つまり、当院も含めて普通の耳鼻科で完全に診断をつけるのは難しいわけで(そもそも診断基準もはっきりしてません)。
症状やこれまでの経過などのお話を聞くだけでもある程度の診断はできるかと思いますが...
もちろん、『普通の耳鼻科じゃわからないから受診しても意味がない』というわけではありません。ちゃんと出来る限りの対応します。
これまで受診された方々にもこういった現状を正直にお話して、その上で今後の対応などについて相談してきたわけですが、長くなっているのでまた次回に!
久しぶりに新型コロナ以外の話題です(^-^;
以前から水泳は喘息に良いという説があります。
私も3年ほど前にブログで触れたことがあり
⇒2017.7.26のブログ『プールと中耳炎』
軽くしか触れていませんでしたが、今も水泳で呼吸を鍛えることは悪くないと考えています。
さて、最近この説について研究の結果が発表されたのですが...
残念なことに水泳によるアレルギーや鼻炎・喘息の予防・治療効果はないという結果でした。
この研究では3歳で『スイミングスクールに参加している子ども』と『参加していない子ども』と比べて、5歳の時に喘息や鼻炎があるかどうかを検討したものです。
その結果、アレルギーの発症を予防したり、治療の効果は確認できなかったということです。
結論として、アレルギーの治療・予防効果を期待して無理に水泳を推奨する必要はないということです。
もちろん、水泳の良い面はアレルギーに関するものだけではありませんので、この調査結果だけをみて水泳そのものを否定するわけでは全くありません。
コントロール不良の喘息であれば運動そのもので発作を起こす可能性もあります(運動誘発喘息)。
特に乾燥した冷たい空気の中での運動は注意が必要とされていますが、室内プールであれば湿度もあり気温も調整されているでしょうから発作は起きにくい環境というわけです。ホコリや花粉も吸いこみにくいでしょうしね。
トップアスリートの中にも喘息持ちの方はたくさんいると言われています。
喘息があるからと諦めずに、主治医と相談しながら上手に、必要時はお薬を使いながら運動もできた方が良いでしょう。
スイミングスクールに通ったことはありませんが、私も水泳は好きです(^^)
Posted:2020.06.16 | Category: 医療系のお話
以前から書いてますが、新型コロナのパニックに紛れ込んで様々な便乗商品や詐欺などが増えているようです。
・給付金の申請を代行すると言って口座番号を聞き出したり。
・水道からコロナに感染すると脅して洗浄するためにとお金を請求したり。
・家族になりすまして『コロナに感染したかも』と連絡し、あとでお金を要求したり。
本当に、よく悪知恵が働きます。
で、残念なことに医療関係者にもこの騒ぎに便乗している人間がいます。
例えば、結構前の話になりますが。BCG接種しているから日本をはじめアジア諸国の新型コロナに感染しにくい、死亡率が低いという説があります。
様々な検証が行われていますが本当に効果があるのか、私の知る限りではまだはっきりと結論はでていません。
しかし、新型コロナ予防のためと称してBCGを成人に打つ病院があります。
そのせいで本来BCGを接種するべき0歳児の為のBCGが不足しそうになりました。
さらに、BCGは注射してはいけないものです。『はんこ注射』と呼ばれるように液を皮膚につけて細い針を押し付ける方法で接種します。それを普通に注射してしまった病院があってニュースになりました。どう考えても常識外れです。
他にも、『ナファモスタット』という膵炎に使う薬が新型コロナに効果があるかもしれないと言われています。
このニュースが流れた後、某SNSで『新型コロナが怖い方にはナファモスタット処方しますので連絡を』と拡散した医師がいました。
喘息治療薬の『オルベスコ』の時も同じようなことが起きていました。
効果もまだわかっていない薬をとりあえずバラ撒くという方法が正しいわけないです。
これらの薬は今まで他の疾患に使用されていた薬ですぐに手に入りますので、簡単に商売に結び付けられてしまうのわけですね。
最近は抗体検査に絡めたような話題が多いです。
(先に書いておきますが、当院では新型コロナの抗体検査は行っていません。)
検査キットが出回るようになりましたので、積極的に検査を受けるように促している病院が結構ありますが、まずは検査の精度がそこまで良くないという話があります。
(キットによってかなり差があるようですが)
最近東京や大阪で大規模に抗体検査が実施されましたが、結果陽性率は東京で0.1%、大阪で0.17%です。
東京で1000人に1人程度です。
神戸では3.3%という結果もありましたが、東京の33倍になるわけです。かなり差がありますよね。
これが検査キットによる差なのか、本当にそれだけの差があるのかすらわかりません。
ちなみに、現在日本国内で診断用医薬品として承認を受けた抗体検査はありません。
診断目的に単独で用いることは推奨されておらず、あくまでも疫学調査目的という位置づけです。
抗体検査を受けて陽性が出たとして、どうしましょう?
(IgGとかIgMの細かい話はここでは省いてます)
感染中で周囲にうつす可能性があるのか、もううつす可能性は低いのか。その辺りはこの検査ではわかりません。
さらに新型コロナに抗体ができていても今後感染しない・かかりにくくなる、ということもまだわかってません。
というわけで私自身は現時点では抗体検査を個人が受けるメリットはあまりないと思っています。検査を受けて一時的な安心感を得るというメリットはありますので、否定もしませんが。
ちなみに検査は8000~10000円程度のところが多いようです。
検査キットの仕入れ値は...ちょっと検索していただければ通販的なサイトもあるのですぐにわかると思います(^-^;
海外から安く大量に輸入してクリニック向けに売りさばく業者も多いようで(*_*;
問題は抗体検査を受けさせて、抗体がない人に対して予防のためと称してサプリメントやビタミン剤や漢方などを勧めてくることがあるようなのです。ビタミン剤も漢方も新型コロナに対して感染予防や重症予防になるような効果はまだ証明されていません。
『ビタミンで免疫力を上げてコロナに~』って感じの広告を見ますが、日本の消費者庁からも客観性、合理性に欠くとして景品表示法、健康増進法の規定に違反する恐れありとされて公表されてます。
⇒消費者庁『新型コロナウィルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請及び一般消費者への注意喚起について』
他にも色々ありますが、長くなったのでこの辺にしときます。
大事なのは、新型コロナに関してはまだまだわかっていないことが多いということです。
本当に有効な治療法・予防法が確立されればすぐ世界中に広がるはずです。
ワクチンの開発も世界中で進んでいます。普通に感染予防を続け、期待して待ちましょう。
Posted:2020.06.01 | Category: 医療系のお話
今日から6月ですね。
熊本では本日より本格的に学校が再開され、今朝は久しぶりに登校中の学生さんがいっぱいでした。
学生さんたちのほとんどがマスク着用しており、おそらく学校内でもまだ集団で密接するような集会などは行われないかとは思いますが、やっぱり外に出られるだけで気分も違うでしょうし少しずつ前進していますね。
さて、前回マスクの事を書きましたが、様々な感染予防を今後も続けられる方が多いでしょう。
5月29日に経済産業省が『次亜塩素酸水』について発表して話題になりました。
⇒経済産業省『「次亜塩素酸水」の空間噴霧について』
要約すると
・新型コロナウィルスに対する次亜塩素酸水の有効性は確認されていない
・消毒剤を人体に噴霧することはいかなる場合も推奨されない
こういうことですね。
有効性については今後も検討されていくのかもしれませんが、人体に噴霧するのはいずれにせよ止めたほうがいいと思います。
他にも検索すると色々な予防法がヒットします。
ビタミンやら健康食品やら空間除菌やら...
結構新型コロナウィルス予防と書いてるのに、除菌や殺菌を謳っている商品が多いですね。
ちなみに身に着けているだけで空間除菌やウィルス除去と書いてある商品が先月消費者庁から行政指導を受けました(^-^;
とにかく、まずは予防も基本が大事だと思います。
手洗い、咳エチケット、人混みを避ける。
これらは是非続けてください(^^)
Posted:2020.05.25 | Category: 医療系のお話
緊急事態宣言が全国的に解除され、新型コロナウィルスの恐怖から少しずつ解放されていきそうです。
とはいってもやはりまだ注意は必要ということで、感染予防は続けていく必要がありますし、休業要請も段階的に緩和していく形のようですね。
そしてこれからもマスクの着用は続けていく方が多いかと思います。
...だいぶマスクの値段も下がりましたし(^-^;
マスクの話題なのですが、日本小児科医会(学会ではない)から見解が発表されました。
(一般向けなので、誰でも見れます)
⇒コチラ
要約すると
2歳未満は子どもが感染することは少なく、重症化はさらに少ない。
むしろマスクによって窒息したり、熱がこもって熱中症になる危険性の方が高い。
ということですね。
日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカでは以前から同じように警告されています。
マスクによって心臓や肺にどこまで負担がかかるかは不明ですが...
確かにマスクで隠されて嘔吐に気付かず窒息したり、顔色の変化に気づきにくくなる危険性はありそうです。
特に運動中は危険性が高そうですね。
さらにそもそも2歳未満の子どもが正しくマスクを使えるのか?
という疑問もあります。
マスクは基本的に表面に触らないようにするべきです。
折角マスクでブロックした汚れや細菌、ウィルスなどを手で触って、その後指を舐めたりすると結局体の中に入ることになりますからね。(ウィルスをマスクで防御できるかどうかも議論のあるところですが)
もちろん、2歳未満は何も防御せずに無防備で良いというわけではありません。手洗いなどは大事です。
何事も正しく恐れ、正しく防御することが大事ですね(^^)
Posted:2020.05.18 | Category: 医療系のお話
新型コロナウィルスの影響で病院を受診される方が減っています。
皆さん健康で病院に行く必要がないということは喜ばしいことかと思います。
ただ、外出を控えるあまり、アレルギー性鼻炎で苦しいのに我慢して副鼻腔炎になったり中耳炎になったりということもあり...
あまり我慢しすぎないようにしましょう(^^)
引き続き当院では発熱などの症状がある方は車待機、別ルート、別室での診察をさせていただいています。
御不便をおかけしますが、どうぞご理解お願いしますm(__)m
さて、受診される患者さんが全体では減っているのですが、最近『睡眠時無呼吸』『いびき』で受診される方が増えています。
(あとアレルギー検査希望の方も増えているような...)
stay homeで家にいる時間が増えていびきに文句を言われることが増えたのか...
外出して運動不足になり体重が増えたことでいびきが酷くなったのか...
理由はいくつか考えられますが、『睡眠時無呼吸』『いびき』で受診された場合、まずはその原因を探ります。
鼻づまりはないか、扁桃腺は大きくないか、飲酒や喫煙の状況、薬の使用状況、体重の増加などなど...
そして原因によって治療方針を考えます。
睡眠時無呼吸の場合、一番わかりやすい症状が『日中の眠気』です。
眠気の症状チェックの問診票がHP内にありますので、気になる方は点数をつけてみてください。
⇒『睡眠時無呼吸のページ』
時々、日中の眠気が非常に強いのに睡眠時無呼吸の検査を行っても無呼吸はあまりないという結果のことがあります。
当然、眠気の原因は無呼吸だけではないのですが、結構多いのが『単純な睡眠時間不足』。
人によっても違うのですが、やはり最低6時間、理想的には8時間は睡眠時間を確保することが大事です。
というわけで睡眠時間や寝つき、中途覚醒(夜中に起きてしまう)などの症状の有無も併せて相談していきます。
気になる方はどうぞ一度ご相談ください(^^)
今回も新型コロナウィルス関連の話ですが...
最近、診察中にゴーグルを着用しています。
普通のメガネのようにも見えますが...
レンズの下や横からも飛沫などが入らないようになっています。
商品名的には『保護メガネ』というものですが、『度』は入ってません。
医療従事者はどうしても感染のリスクが高い職業ですが、もしも我々が感染すると他の患者さんに媒介してしまう恐れがあります。
これは絶対に避けなければいけません。
特に耳鼻科医はのどや鼻を診ますので、その際に咳やくしゃみなどで飛沫を浴びる可能性があります。
ゴーグルを使用しながらの診療で不快感を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、どうかご了承ください。
感染対策として患者さん毎のアルコール手指消毒、マスク着用は当然。
(これは新型コロナウィルス騒動の前から当然してますが)
眼というのは粘膜が露出しており、感染のリスクがある箇所になりますので、医師会などからも診察時は保護することが勧められています。
で、医療従事者が使うゴーグル(シールド)は↓のようなものが多いのですが...
フレームにペラペラのプラスティック(?)をつけるもので、プラスティック部分は使い捨てです。
これもマスクやガウンと同様に不足しております。
というわけで冒頭のゴーグルを使用しています。
軽くて耳が痛くなることも今のところなく、いつも使用しているヘッドライトも問題なくいっしょに使用できます。
なかなか使い勝手も良いのですが、だんだん曇ってくる...
耳を診察する際は顕微鏡を使用しますので、その時はおでこの方にずらしてます。
それにより髪型が乱れてることもありますが、これもご了承ください(^^;)
熊本市の耳鼻咽喉科 たかむら耳鼻咽喉科
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