たかむら耳鼻咽喉科

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お薬の話の記事一覧

Posted:2018.10.09 | Category: お薬の話 医療系のお話

今日もだいぶ気温が下がってインフルエンザの季節が近づいてきました。

先週だったか熊本でインフルエンザの局地的流行があり学級閉鎖が1か所あったそうです。
当院でも数人検査を行いましたが、全員陰性でした。



さて、今回はインフルエンザのお薬についてです。
以前に"ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)"という新しいお薬について書きましたので、こちらも参照ください。
(⇒2018.3.6の記事『新・抗インフルエンザ薬』


このゾフルーザ、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤(長っ!)というお薬です。
まだ新しいので効果についてはっきりと言いづらかったのですが、先日"タミフル(オセルタミビル)"と比較した論文が『New England Journal of Medicine』という超一流雑誌に載りました。





結論から言うと
◎ゾフルーザとタミフルは何も治療しない場合よりも平均1日くらい症状を早く抑える
◎ゾフルーザとタミフルでは、ゾフルーザの方がウィルスの検出期間が短くなる


簡単に言うと、両方のお薬ともインフルエンザの症状は抑える効果は同じくらい
ただ、ゾフルーザの方がウィルスが速やかに減るので、周囲にうつすリスクは低くなる可能性はある


ということです。



『ならゾフルーザの方がいいじゃん』



ってなりますが、デメリットもあります。



ゾフルーザのメリット、デメリットをまとめます。

◎メリット
1回内服するだけで良い
・周囲にうつすリスクを減らせる可能性がある

×デメリット
・体重が10kg以上ないと使用できない
・顆粒(粉薬)も発売予定だが、これは体重20kg以上ないと使えない。
値段が高い(タミフルのジェネリックと比べると3割負担で1000円くらい違う)


他のイナビルやリレンザとの比較はまだ発表されてないので何とも言えません。
顆粒が今後、体重の小さなお子さんまで適応が広がればいいですね。


タミフルだと1日2回5日間内服しないといけないし、タミフルのドライシロップは美味しくないのが有名です(^-^;


嫌がるお子さんに5日間もお薬飲ませるのは大変です。



というわけでゾフルーザの顆粒は美味しいことを願います(^^)

Posted:2018.08.23 | Category: お薬の話 こどもの病気 耳

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ちょっと前の話になりますが、『小児急性中耳炎診療ガイドライン』が改訂になり2018年版となりました。


2013年版から5年ぶりの改訂となりましたが、あまり変わってない印象です(^-^;

その中で大きな変更点としては


①ガイドラインの使用を耳鼻医から小児急性中耳炎に携わるすべての医師へ広げた。

例えば重症の急性中耳炎ではこれまでのガイドラインだと『鼓膜切開+抗生剤投与』と書いてあったのですが、今回から『鼓膜切開が可能な環境では実施を考慮する』という風に追記がされました。

つまり耳鼻科医以外の鼓膜切開ができない医師にも使いやすいガイドラインにしたわけです。



②治療を開始して改善があったかどうかの判断について

これまでは『抗生剤投与3日後』だったのが、今回は『抗生剤投与3~5日後』と幅が広がりました。
まぁ抗生剤が必要な急性中耳炎で3日間だけの投与で終了することは少ないですし、実際の現場では必ず3日後に効果を判定するということはないでしょうから。妥当な変更でしょう。




ちなみに、使用する抗生剤は変更ありません。
軽症ではまず『アモキシシリン(ワイドシリンなど)』。

中等症や軽症でもアモキシシリンで効果が薄い場合は『アモキシシリン高容量投与』、『クラブラン酸カリウム・アモキシシリン合剤(クラバモックス)』、『セフジトレンピボキシル(メイアクト)』。

それらで効果がない場合や、重症の場合は『セフジトレンピボキシル高容量投与』、『トスフロキサシン(オゼックス)』、『テビペネムピボキシル(オラペネム)』。




結論
今回のガイドライン変更によって治療が大きく変わることはないと思います。特に耳鼻科医は。




ちなみに、ガイドラインはあくまでも『おおまかな』指針であって、患者さん個人個人によって治療の仕方は変わりますから100%守る必要なんてありません。




しかし明らかに逸脱しすぎている場合はやはりおかしいです。



例えば、この前生後4か月くらいの子どもに対してトスフロキサシン(オゼックス)を1週間いきなり処方してる病院がありました。熱もなく、機嫌も悪くない軽度の中耳炎だけなのに(-.-)
ガイドライン通りに治療を考えると、まずは抗生剤を使わずに経過を見るレベルです。




ガイドラインという『基本』を全く無視するのは問題外ですが、患者さん個人個人に合わせた『応用』も必要になるのが実際の臨床現場。



中耳炎に限らず、ガイドラインは上手に使うことが大事ですね(^^)/

Posted:2018.07.27 | Category: お薬の話

前回のブログで
『漢方薬なら副作用がなくて安全と言われる方もいますが、もちろん漢方薬にも副作用はあります(@_@)』


と顔文字付きで書いちゃいましたので、今回はそのお話。



ちなみに、この記事を書くにあたって、漢方薬について改めて調べたのですが

漢方薬には『副作用』という概念がない。という情報を発見しました。
漢方薬を使用して何か問題が起きると、それは副作用ではなく、診断ミス、投薬ミスとみなされるとのこと。
(wikipediaに書いてました(^-^;)


これは知らなかった...(^^;)
こういったこともあり、『漢方薬=副作用なし』という認識が広まったのかもしれませんね。




さて、耳鼻科でよく使う漢方薬としては...
小青竜湯
柴苓湯
当帰芍薬散
八味地黄丸
加味帰脾湯
十全大補湯
半夏厚朴湯

などが挙げられます。



この中でも耳鼻科での使用頻度が高いと思われる小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を例に挙げます。


特にアレルギー性鼻炎で小青竜湯を使ったことがある方は結構多いんじゃないでしょうか。


この小青竜湯の中に『麻黄』という成分が含まれています。
この『麻黄』の主成分は『エフェドリン』と言います。
というより元々『麻黄』という植物から『エフェドリン』は抽出されました。



『エフェドリン』は交感神経刺激薬として気管支喘息や気管支炎の咳止めのように使用されていたり、麻酔時の血圧を上げるために使用されたりします。
血管を収縮させる働きがあるので、妊娠されている方は避けた方が良いとされています。



この『麻黄』ですが、有名な『葛根湯(かっこんとう)』にも含まれています。
妊娠中の風邪症状などに小青竜湯や葛根湯は避けた方が良いでしょう。
(ドラッグストアでも買えちゃいますし)



さらに小青竜湯に含まれる『甘草』という成分は『偽アルドステロン症』という副作用を起こす可能性があることも有名。
『偽アルドステロン症』とは血圧を上げるアルドステロンというホルモンが増えていないのに高血圧などの症状を呈するものです。
これは特に高齢者の場合、注意が必要。




色々怖そうな感じで書いちゃいましたが、もちろんこのような副作用が必ず起きるわけではありません。
特に『漢方薬が悪い』というわけでももちろんありません。



何度も書いてますが、漢方薬だろうが西洋薬だろうが『薬』とされているものは全て副作用を起こす可能性があります。
不要な薬は飲まない方が良いし、必要がある時は医師や薬剤師の指示を守ってしっかり使ってください(^^)

Posted:2018.07.23 | Category: お薬の話

『アレルギーの薬をずっと飲んでると太ると聞いたんですが、大丈夫ですか?』
という質問を稀に受けます。


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こちら、デザレックスという抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)の添付文書(説明書)の一部です。
最近、副作用の欄に『食欲亢進』が追加されました。

副作用の頻度は『頻度不明』となっています。



アレロック(オロパタジン)や、ザイザル(レボセチリジン)の添付文書のには『体重増加』という副作用の記載もあります。



抗ヒスタミン薬は名前の通り、『ヒスタミン』というアレルギーの際に放出される物質を抑えます。
この『ヒスタミン』が食欲の抑制に関係しており、『ヒスタミン』を抑えることで食欲が増進してしまうと言われています。




じゃあ実際、抗ヒスタミン薬で太っちゃうの?




正直、過剰な心配はいりません(^^;)



抗ヒスタミン薬は毎日たくさんの方に処方していますが、『この薬飲むと食べ過ぎちゃって...』なんてことは言われたことありません。





まぁアレルギー性鼻炎で『においが感じないから食事が美味しくない』という方は薬を使用することで食事が美味しくなっちゃって体重が増えるなんてことはあるかもしれませんが(^-^;





どんなお薬にも副作用はあります。
漢方薬なら副作用がなくて安全と言われる方もいますが、もちろん漢方薬にも副作用はあります(@_@)





副作用の確率よりもお薬を使うことのメリットが大きい時にお薬は使うのが大原則。

なので、お薬が必要な時は添付文書に載ってる副作用全てを過剰に心配する必要はないでしょう(^^)/



Posted:2018.06.22 | Category: お薬の話 医療系のお話 学会

一昨日のことになりますが、勉強会参加。

正式名称は『第14回東部小児耳鼻咽喉科疾患研究会 第6回PENT研究会 合同研究会』

長っ!
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以前にも参加した記事を書いたことがありますが、小児科と耳鼻咽喉科の合同の勉強会です。

今回は熊本赤十字病院小児科の先生が小児の救急疾患について講演されました。


病気の知識としては知っていることがほとんどでしたが、実際の症例をたくさん提示され、実際の臨床現場の現状と合わせて講演されたので、非常に興味深く勉強になりました(^^)



例によってひとつご紹介。
使用するお薬が変わってきたというお話。


このブログでもたびたび書いてますが、日赤でも抗生剤の使用量がかなり減っているそうです。
特に3世代セフェムと呼ばれるフロモックス、メイアクト、セフゾン、バナンなどのお薬はここ10数年で10分の1以下になっているそうです。


しかし、重症の感染症は減っている。これはワクチンが充実したことが大きいと思いますが、抗生剤が必要な場面というのは本当は多くないということでしょう。




また、以前はよく使用していたペリアクチン、ポララミン、アタラックスなどの第1世代抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)も減っているようです。



小児の風邪にお約束のようにアスベリン、ペリアクチン、ムコダインって感じで処方されることも多いこれらのお薬ですが、基本的に古いアレルギーのお薬ですので、副作用として中枢神経抑制(眠気、集中力の低下など)が強く、また、熱性けいれんを誘発する可能性があります。


これも以前に一度書きましたね。



いずれにせよ、お薬なんて飲む必要がないなら飲まない方が良い。
その必要性をしっかり見極めるのは医師の努力です。


...頑張ります(^^)/

Posted:2018.05.10 | Category: お薬の話

最近真面目な記事を書いてなかったので、久々に医学系のお話を(^-^;


以前にも何度か書いた覚えがありますが、マクロライド系という抗生剤についてです。
特にクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)というお薬。


まず、抗生剤は『殺菌的』な薬と『静菌的』なお薬に分かれます。

『殺菌的』なものはペニシリン系やセフェム系など。代表的なものとしてワイドシリンやパセトシンやメイアクトやフロモックスなどなど。
読んで字のごとく細菌を『殺す』ようなお薬です。


『静菌的』なものの代表がマクロライド系です。
これは細菌の増殖を抑えるように働きます。
なので、急性期の感染症にはあまり効果は望めません。


マイコプラズマに対して有効だったのですが、最近は耐性化が進んでしまい使いづらくなりました。



有名な使い方が『マクロライド少量長期投与』という方法です。

マクロライドには炎症を抑えたり、免疫を調整する効果があることが知られています。
そのため、通常使う量の半分以下で長期間内服を続ける方法が慢性副鼻腔炎やびまん性汎細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などによく用いられます。



非常に効果がある方法なのですが、実はこの免疫調整機能や抗炎症作用はメカニズムがよく分かってなかったのです。

それが先月、そのメカニズムが分かってきたという発表がありました。


詳細は省きますが、これがもっと詳しく解明されれば、マクロライドの抗生剤としての機能をなくして免疫調整機能や抗炎症作用のみを持つ新薬が開発されるかもしれません。


そうすれば耐性菌の問題にも貢献しますし、非常に有用なお薬になることでしょう(^^)/

Posted:2018.03.12 | Category: お薬の話 医療系のお話

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はい、ご覧の通り花粉症がピークを迎えております。


花粉症の治療は基本的に
・花粉を避ける 
・薬を使う
・免疫療法
などが挙げられます。


しかしここ最近、『やってはいけない治療』をいままで受けていて、相談されることが続きました。

基本的には『ステロイドの使い過ぎ』です。
去年も同じ時期に一度書きました。
(⇒2017年3月10日の記事『ステロイドと花粉症』


最初に書いておきますが、ステロイドを延々と使用しないといけないような花粉症の患者さんなんてほとんどいません。



ステロイドの投与方法はいろいろあるのですが、まずは『ステロイド筋注』。
この治療、いまだにやっている病院があるのが驚きなのです(・_・;)


調べてみると『花粉症のシーズンに一回注射すればOK』といったフレーズで結構宣伝してますね。
熊本でもどうやらやっている病院があるらしいです。


脂溶性ステロイド、特にケナコルトという薬剤を筋肉内に注射します。
ステロイドはアレルギーに対して非常に強い効果を持つのですが、同時に副作用の危険性もあります。

なにより、この投与方法だとジワジワと効果が続いてしまいます。
つまり、何か副作用が生じたとき、すぐに中止することができないわけですね。



ステロイドの副作用として有名なものは、易感染性(感染症にかかりやすくなる)、糖尿、高血圧、消化性潰瘍、月経異常、満月様顔貌などなどあります。
そして筋肉注射のときによく聞く副作用が『注射した部分の陥没』。これは何人も見たことがあります。



他に、『ステロイドの鼻粘膜注射』なんてのもあります。鼻の粘膜に直接注射するわけですが、失明したという報告があります。これも未だに行っている病院があるそうな...


こんな治療を受けるくらいならステロイドを内服したほうが良いわけですが、内服しすぎるのも問題です。



内服薬でよく使われているのが『セレスタミン』というお薬。
これはポララミン(アレルギーのお薬)とステロイドの合剤です。
ポララミンは古いアレルギーのお薬で、アレルギーにももちろん効くのですが、古いお薬で非常に眠気も強い。


これを花粉症のシーズンに1~2か月連続で処方されていた方がいました。
眠気も強いのに、我慢して使用していたそうです。
ついでに言うと、ポララミンを延々と内服していた方もいました。
やはり眠気が強いのを我慢していたとのことです。


今シーズンは普通のお薬に変更しましたが、眠気もなく全然問題ありませんでした(・_・;)



いずれの投与方法にしろ、ステロイドは必要性がなければ長期的に使用すべき薬ではありません。
花粉症は普通に治療しましょう(^^)

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